Montag, 21. Mai 2018

Die Muse und der Dichterling

Machwerk R.W. Aristoquakes
Teil 49 - 34
Die Muse und der Dichterling
Buch  III 
- Batrachomyomachia international -
- Japanisch -

Auch in Japan kennt man sie,
Die Batrachomyomachie!

Das Original, schon arg zerfetzt,
Um Homers Spätwerk zu erhalten,
Hat einer von den großen alten,
Japanischen Dichtern übersetzt,
So dass, wer will, was einst gewesen,
In japanischen Schriftzeichen kann lesen.

In denen sieht der tierisch blutige Strauß
Zwischen den Tiervölkern so nun aus.

BATRACHOMYOMACHIA

マウスを用いたカエルの戦い

蛙鼠合戦 

 

さあ歌いはじめよう。


まずはムーサなる方々が ヘリコーンの山から私の心の中に降り来たり、 私の膝の上の机で書かれた、この歌を恙無く歌い終えることができますように。
喜んで、集まられた方々の耳にお届けいたしましょう。
この、痛ましい闘いのすべてを、戦(いくさ)の喧噪に満ちた行いのすべてを、 そして、その闘いでネズミたちが蛙どもに示した武勇のすべてを。
まことに、この武勇の数々は神々が大地から生まれた ギカースどもと戦われたときに 見せたと伝えられるそれにも比すべきもの。
さあ、戦のはじまりから語りましょう。
(L = 1-8)
ある日、一匹のネズミがイタチ---この怖るべき敵---から逃れてきた。
渇きのあまり、彼はその柔らかな鼻先を水際に突っ込み、甘き水を飲んでは うかれ騒いだ。
すると、声も大きな池辺の戯れ者が彼を見つけ言うには、
「異国の人よ。貴殿は一体どなたかな?
どこからきなさったのか? また、どなたが貴殿を生みたもうたのか。
真実をつつみ隠さず話して下され。貴殿が嘘吐きと思われぬようにな。
もし、友誼を結ぶにふさわしいお方であるならば、我が館にお招き申し上げ、 しきたり通り贈り物をもさしあげよう。
我こそは王なるピューシグナトス この池すべてに誉れを与えられた者。
絶えず蛙どもを統べ治める者。
我に生命を与えたもうた父君の名はペーレウス 彼の人こそエーリダノスの流れのほとり、 ヒュドロメデューサと共寝して、 我を生ませたもうたのだ。
実のところ、貴殿は生まれ卑しくは見えぬ。
むしろ衆に勝れてたくましく、戦では兵士(つわもの)として、また王にふさわしいと 錫杖を与えられる者に見える。
ならば、まず、こなたへ来て、取り急ぎ貴殿の家柄を語るがよろしかろう。
(L = 9-23)
これに答えてプシーカルパクス のいうよう。
「我にその家柄を語れと申されるのか。
人にも神にも天空の鳥にも、あまねく知られた家筋を。
プシーカルパクス
こそ我が名前。
トロークサルテース
の子。
母の名前はレイコミュレー この人はプテルノトロークトス王の娘なり。
さて、いかにして友誼を結ぶおつもりか。このまったく異なる地に棲む者同士が。
貴公は水の中に住まわれておるであろう。
しかし、我は人の喰らうものを食するなり。
まったく、我は喰らい得るもの、そのすべてを逃しはしないであろう。
つまり、見事にこねられたパン、ゴマとチーズでいっぱいの軽く包まれた丸い篭、 その他ハムの切れ端、白き脂肪に包まれた肝臓、甘き乳より固められたチーズ、 神も愛でてやまぬ見事なハチミツ菓子、これら死すべき人間どもが祭礼の日に作る 美味の数々、この多数(あまた)のスパイスと共に煮炊きされたものを逃すことなど ありえないのだ。
(L = 24-41)
戦場(いくさば)に出れば、いかに激しい攻撃にもひるむことはない。
戦いの庭へと真っ先に、その身を投じるのだ。
人間などは、いかにその体躯大きくとも怖るに足らぬ。
彼奴(きゃつ)寝所へと走り寄り、つま先といわず踵といわず咬み切ってやるのだ。
だが奴といえば、そんなことになっているとはつゆ知らず、甘き夢をむさぼり、 決して目覚めることがない、というわけだ。
とはいえ、この世にたった二つだけ恐ろしいものがある。
鷹とイタチ(といった獣)---これは我にとって大きな悲歎の種である---と不意の 死をもたらす、あの罠というものだ。
中でも、このイタチという奴が特に恐ろしい。
そして、貴公の館へついて行った時でさえ、そやつと出くわさぬかと心配なのだ。
また、池に棲む貴公が食するような、はつか大根、キャベツ、カボチャ、青きネギ、 そしてパセリなどを食することはないのだ。 この我は。」
(L = 42-54)
ピューシグナトスが、これに笑いながら 答えていうには、
「異国の方よ、貴殿は何とも大きく自慢したものよ。
我らとて、多くの驚くべきことがあるのだ。この池の畔にな。
クロノスの御子
は、我らに別々の場所に 棲むために二重の生活を送るようになしたもうた。
それ故、我らは大地の上を跳ね、更に水面の下へも潜るのだ。
もし貴殿が、これらのことを、よく知り得たのならば---それは、いかにも容易な ことであろうが---さあ、我が背に乗るがよい。
そして、振り落とされたりせぬように、しっかりとつかまるのだ。
さすれば貴殿は、楽しみに溢れた我が館にたどり着くであろう。」
(L = 55-64)
こう言うと、背を向け、乗るように促した。
すると、このネズミはすぐに、素早くあたりを飛び越えると、蛙の背に乗り、 この手をスベスベとした首にまわした。
さて、最初のうちこそ、プシーカルパクス 陸地の近くの景色に見入り、 ピューシグナトスの泳ぎぶりに 大はしゃぎといった態だった。
しかし、泥の波をかぶりはじめると、大声で泣きわめき、 ピューシグナトス この生憎な心変わりを責めたてた。
彼は自分の毛を掻き毟っては、その手をわき腹に突っ込み、この予想だにしなかった 事の次第に動揺した考えを巡らした。
そのうち、陸地に戻りたいという衝動にかられ、また、凍り付くような恐怖に 恐ろしい唸り声をあげるのであった。
さて、そこで尾を水面に突っ込み、オールのように漕ぎ回してみると、 無事に陸地へ着きますようにと神々に願いを捧げるのであった。
ところで、そんな折、泥の波を頭からかぶり、わめき散らして言うには、
「まったく、こいつはゼウスの変化したもうた 雄牛か何かのつもりらしい。
この蛙ときたら、まるで海を渡ってエウローペー クレタ島へ連れて行くかの ように、この水辺を横切って我を彼奴の館やらへと連れて行こうとしている。
しかし、こいつの黄色くせりあがった背中は、もう、蒼い水にすっかり浸かって しまって、今にも沈みそうだ。」
(L = 65-81)
その時突然水蛇が現れ、その怖るべき姿が二人の目に写った。
すると、この水蛇は水面から鎌首を持ち上げるのであった。
それを目にするや、ピューシグナトス 一目散に水面下へと潜って行った。
彼の憐れな共連れがどのような仕儀となるかなどとは考えもせずに。
とにかくも、か黒い死から逃れる為には池の底へと潜って行くしかなかったのだ。
とたんに、見捨てられたネズミの方は水の中へと仰向けに落っこちた。
手足をばたつかせては、おぞましい死の恐怖に鳴き声をあげるのであった。
何度となく水面の下に沈み、その度に足をばたつかせては浮かびあがっていた。
だが、彼もその破滅の運命から逃れることはできなかった。
水を含んだ彼の毛皮が次第に重さを増していったのだ。
ついには彼の命も尽きようとしていた---次のような言葉を残して---
(L = 82-92)
ピューシグナトスよ、貴公のこの不実、 決して報いを逃れられるとは思うなよ。
貴公は我を岩か何かのように放り出して難破に遭った者のように殺したのだ。
何という卑怯な臆病者だ!!
地上に於いて、貴公が誉れを得ることなどもはやあるまい。
拳闘にせよ、相撲にせよ、徒競走にせよ。
我を騙して、このように水の中へと放り出したからには。
天には復讐の目というものがある。
いつの日にかネズミの族(うから)により裁きを受けるであろう。
貴公は、それから逃れることなどできはしないのだ。」
(L = 93-98)
このように言うとプシーカルパクスは、 その口から水の上へと魂を吐き出した。
しかし、この時やわらかな岸辺にレイコピナクス がいた。
彼はプシーカルパクスの最期の一部始終を見届け、 その末期の言の葉を聴くと、 このことを知らせにネズミたちの所へ走って行った。
ネズミたちがこのことを聞くや、抑えようもない怒りがあたりを包んだ。
そして、伝令をトロークサルテースの所へと 送ったのである。
この人は、今や岸辺を離れ池の中程の深みに手足を力なく伸ばして浮かぶ、 あの不運なプシーカルパクスの父である。
ネズミたちがトロークサルテースの所へ やってくると、彼は立ち上がり、 息子の死に強い怒りを覚えながらこう言った。
(L = 99-109)
「友よ、吾はたった一人でありながら、何と大きな不幸を蛙どもから受けたことか。
先ずは此度の件に関しては、皆様方にこう言わねばなるまい。
今や吾は惨めにも3人の息子を失ってしまった。
一人目はイタチに捕らえられて殺されてしまった。
巣穴の外でイタチが息子を捕らえたのだ。
二人目は情けを知らぬ人間どもの手にかかって死んだ。
彼奴らは見たことも聞いたこともない、我々ネズミの破滅のもとを作りだした。
彼奴らが「罠」と呼ぶ木の釘がそれだ。
そしてプシーカルパクスだ。
吾と女親に深く愛されたあの子を、 ピューシグナトスめが池の深みに連れ去り、 溺れさせたのだ。
さぁ、今こそ輝く武具に身を固めて、蛙どもと戦うべき時だ!!
(L = 110-121)
このように言って、彼はネズミたちに檄を飛ばした。
彼の発言が終わると、戦いを司るアレース ネズミたちに武具を与えた。
先ずは脛当て、これはネズミどもが一晩中豆のサヤの上に立って、かじっては 二つに分けたものである。
胸当てはイタチの皮をはいで、アシを巧みに張って作られている。
楯はランプの中心部、槍は青銅で出来た長い針---これこそ アレースの業に よるもの---そして頭に被る兜はピーナッツの殻であった。
(L = 122-131)
ネズミたちは、このように武装を整えたのである。
一方、蛙たちがこのことに気付くや、水から立ち上がり、一つ所に集まって 議会を召集した。
蛙たちがこのことについて議論していると、心寛い テュログリュポスの息子である エムバシキュトロス がやって来た。
エムバシキュトロス
は宣戦の布告のために 来たのである。
宣して曰く。
(L = 132-138)
「蛙たちよ、ネズミの一族は戦を告げる使者として、我を遣わしたのだ。
さぁ、各々武具を身に纏うがよい。
我々がおまえたちの王であるピューシグナトス 水辺でプシーカルパクス 殺すのを見たからには。
ここに宣戦を布告する。
戦士を募るがよい。」
(L = 139-143)
このようにエムバシキュトロス 宣戦を布告した。
このような言葉を聞いて、蛙たちの心貴いものたちは心を傷め、 ピューシグナトス を非難し始めた。
しかし、ピューシグナトスは立ち上がり、 こう語り出した。
(L = 144-146)
「友よ、我はいかなるネズミも殺さなかったし、死んでいくのも見なかった。
確かにプシーカルパクスは蛙の真似をして 泳いでいるときに、池で溺れた。
そして、この恥知らずどもが、そのことで罪もない我を責めたてるのだ。
さぁ、これからすぐにでも、このズルいネズミどもを打ち破る相談でもしよう ではないか。
更に、我の最もよいと思う所を語ろう。
鎧の紐を締め、武具を整えて池のほとり---ここで大地は真っ直ぐに切り立っている のだが---に立つのだ。
ネズミどもが我らに向かって突撃してきたら、それぞれが彼奴らの馬毛の飾りを 取り押さえて、兜もろとも水の中へと放り込むのだ。
乾いた毛皮のネズミどもは溺れてしまうだろう。
こうすれば、我々はネズミどもに対して勝利を得て、戦勝記念碑を打ち立てる ことができるというものだ。
(L = 147-159)
こう言って、ピューシグナトス 蛙たちに武装するように説得したのであった。
蛙たちの胸当ては、緑色したビートの葉であり、その楯は、巧みに作られた キャベツの葉で出来ていた。
各々は尖ったい草を槍として武装し、滑らかなカタツムリの殻が頭を覆う兜で あった。
こうして蛙たちは小高い土手に密集隊形で立ち上がった。
槍を振り回し、各々の心の内は勇気で満たされていた。
(L = 160-167)
ゼウスは星ちりばえる天に神々をお呼びになり、 この戦争にはやる群衆と屈強な 兵士たちをお見せになった。
彼らの数は非常に多く、誰もが立派な武具をまとい、手には長い槍を持っていた。
その様は、まるでケンタウロス ギガースどもの軍勢のようであった。
そしてゼウスはいたずらっぽい微笑みを浮かべて 他の神々に尋ねられた。
「不死なる神々のうち、誰かネズミどもに味方するものは?? また、蛙どもには??
こう言われると、女神アテーナーに話しかけられた。
(L=168-175)
「娘よ、ネズミどもに味方しなくてよいのか??
彼らはお前の神殿に捧げられた、脂肪などの全ての食物で、いつも浮かれ騒いで いるではないか。」
(L= 174-176)
このようにクロノスの御子は言われた。
これに応えて、女神アテーナーが言うには
「例え彼らがどんな目に遭おうとも、ネズミを助けに行くことはないでしょうね。
彼らのイタズラときたらヒドいものです。
私の花冠だけではなく、油欲しさにランプまでダメにしてしまうのですもの。
それだけではありませんわ。
私が一所懸命に横糸と縦糸を組み合わせて織ったローブまで穴だらけにして台無し にしてしまいます。
そんな有り様ですから、金貸しがやってきて不死なる神々にはふさわしくない利子 なんてものを請求する始末です。
機を織るにも借金をして、返済のアテもないなんて!!
かといって蛙を手助けするのもイヤですわ。
私を蔑ろ(ないがしろ)にしている、という意味では彼らも同じですもの。
ある日、私、朝早く戦場から帰ってきたことがありますの。
とても疲れていて眠りたかったのに、ケロケロケロケロ騒がしくて眠れやしません でしたわ。
結局、夜明けまで頭が痛くて眠れませんでしたの。
さぁ!!他の神々も、どちらかに加勢しようなんて無駄なこと。
鋭い槍で怪我をするのがオチですわ。
私たち神々が戦場に降りたところで、彼らは戦いをやめないでしょうから。
それよりも、ここ天上から彼らの戦いぶりを見ていようじゃありませんか。」
(L= 177-196)
そのように女神アテーナーは言われた。 そして他の神々も、女神の申し出に応じて一つ所に集まって行った。
(L= 197-198)
いよいよ、ブヨが大きなラッパを鳴らし、戦の恐ろしい合図とした。 すると、クロノスの御子である ゼウスは絶え難い戦の合図として、天上から 雷鳴を轟かせた。
(L= 199-201)
最初にヒュプシボアース レイケーノールの腹に傷を負わせた。
その胴の真ん中を貫いたのだ。
レイケーノール
は頭から崩れ落ち、 その毛皮を埃まみれにした。
どうと音をたてて倒れると伴に鎧が彼の周りで音をたてる。
次にトローグロデュテース ペーレウスの息子 (ピューシグナトス)に槍を放つと、 それは彼の胸板に深く突き刺さる。
彼は倒れると、か黒い死に押さえつけられ、その魂は口から飛び出ていく。
セウトライオス エムバシキュトロスの胸板を貫いて殪した。
一方ではアルトパゴス ポリュポーノスの腹を撃つと ポリュポーノスは前に倒れ、彼の魂は手足から すり抜けて飛び回る。
リムノカリス ポリュポーノスの死を目の当たりに するや、すぐにトローグロデュテース 柔らかな首筋を石臼のような岩で打った。
するとトローグローデュテースの視界は 闇に包まれた。
(L = 202-213)
この時オーキミデースは深い悲しみに体が強ばったが、 敵を撃って、どうと倒れるまで槍を引き抜こうとはしなかった。
レイケーノール
オーキミデースを輝く槍で撃つと、 その胴の真ん中を過たず貫く。
次にコストパゴスが逃げるのを見るや、彼を 次なる相手と決めた。
険しい岸辺に落ち込んでも戦いをやめようとはしなかったが、大勢に撃たれて ついには水に沈み、二度と浮かんではこなかった。
岸の水は彼の腹から出た血で真っ赤に染まる。
また、コストパゴスはまさに今際の際に テュロパゴスを殪した。
一方カラミンティオス プテルノグリュポス を見るや逃げだし、楯を投げ捨てて水の中に飛び込む有り様。
高貴なエムバシキュトロス ピルトライオス を殪すと、ヒュドロカリス プテルノパゴスを殪す。
小石を頭に打付けると頭は砕け、鼻から脳漿を流し、大地は血に染まった。
(L = 214-229)
非の打どころのないボルボロコイテース レイコピナクスを槍で撃つと レイコピナクス 視界は闇に包まれ、殪れた。
これをプラッサイオスが見ていた。
彼はレイコピナクス---この人は既に 死んでいたのだが---に足をとられ、池で 息を詰まらせた。
しかし、プシーカルパクスは親友の死の 復讐に燃え、戦いに身を投じた。 そこでプラッサイオスが岸にたどり着く前に 打ち据える。 こうして強く打ち据えられると、プラッサイオス は前のめりに沈み、彼の魂は ハーデースへと向かう。
これら一連の事態を目の当たりにした クラムボバテースは泥を一掴みすると、ネズミめがけて投げつけた。 泥がネズミの顔に当たると、はじけ散り、 プシーカルパクスは殆ど何も見えなくなる。
(L = 230-238)
さて、プシーカルパクスはこのことで 怒りに燃えて、その力強い腕(かいな) 大地に横たわった大きな石---この大地の重い塊---を持ち上げて クラムボバテース に投げつけた。 石は蛙の脚に当たり、右の向こう脛をすっかり吹き飛ばすと、もんどりうって 背中から埃の中に転げ落ちる。
この時クラウガシデースは戦線から少し離れて いたが、今度は自分の番だとネズミめがけて突進した。 ネズミの腹の真ん中を撃ち、芦の槍を根元までねじり込む。 そうして今度は、その力強い手で槍を引き抜くと、敵の腸(はらわた)が大地へ どうと飛び出す。
トローグロデュテースといえば、 川の岸で戦いに傷つき、戦線から離れていた。 そして、これらの事態を目にするや、恐れに身が竦(すく)み、目の前に迫った 死から逃れるために穴の中へと逃げ込む。
トロークサルテース ピューシグナトスの足を押さえつけて撃った。 今際の際に彼は池から上がり、ひどい痛みにもがく....
(L = 239 - 251)
プラッサイオスは、このように トロークサルテースが前衛を崩して---しかし、 半分くらいはまだ残っていた---いるのを見るや、その戦いの集団に身を投じ、 芦の槍を投げつける。 しかし槍は楯に遮られ、またその楯をも壊すことがなかった。
アレースとも見まごう高貴な オリガニオーン トロークサルテースの傷一つない兜 ---これはピーナッツの殻を四つ組み合わせて できていた---に打かかったが、蛙たちに囲まれた彼の武勇には何等かげりは 生じなかった。
しかし、別のネズミの一団がオリガニオーン 突進してくるのに気がつくや、 彼はもう、この雄々しい英雄を見続けることなく池の深みへとその身を 投じるのであった。
(L = 252 -258)
さて、数ネズミどものなかにあって、衆に抜きん出て秀でた メリダルパクスがいた。 かの人は尊いアルテピブーロスの子である クナイソーノスの息子である。 彼は家に戻り息子を呼び寄せると戦に参加させ、彼自身は湖のほとりで心楽しく 立って(息子の武勇を眺めて)いた。
さて、この戦は蛙の族を滅ぼしてしまうかと思えるほどのものであった。 あたかもクルミの殻が繋ぎ目から二つに割れる、まさにそのように、 メリダルパクスの一撃のもとに蛙どもの鎧は 真二つに分かれるのだ。
すぐさま蛙どもの軍勢は怖れ戦(おのの)き、湖へと一目散に逃げだした。 彼はその強い膂力を以てその役目を存分に果たしていたのだが、神々と人間どもの 父であるクロノスの御子は、この光景に 目を止められて潰走する蛙どもに哀れみを 感じられた。
(L = 259 - 271)
「何ということだ!! この目にした光景の恐ろしさを何と言えばいいのだ。 メリダルパクスの攻撃は、湖のほとりにいる 蛙どもにとって、いかに大きな恐怖であることか。
急いで尚武のパラス( アテーナー)アレースを送らなければ。 彼らならばメリダルパクスがいかに 膂力(りょりょく)衆に優れていようとも、この戦いを 止めさせられるに違いない。」
(L = 272 - 276)
このようにクロノスの御子が言われると、 女神ヘーラーが応えて言われるには
クロノスの御子よ、 女神アテーナーの力も、 アレースも蛙どもを完全な破滅から 救うことはできないでしょう。
それよりも、総出で彼らを助けに向かうのです。
さもなければ、あなたの武器を投げつけてやるのがよいでしょう。
あれは非常に強力で、ティーターンをも殺せます。
そう、あなたがカパネウス---彼は戦に 優れた者でしたが---を殺した時のように、 優れたエンケラドスを、粗野な ギガースども 殺した時のように。
そうです、その武器を投げつければ、どんな勇士も殪れてしまうでしょう。
(L = 277 - 284)
このように女神ヘーラーが言われると、 クロノスの御子は激しい雷鳴を轟かせた。
まずこの神が雷鳴を轟かせると、大いなる オリュムポスはあたりにとよみ、 更にこのゼウスの怖るべき武器である雷霆を 軽く前の方に投げられた。
この投げられた雷霆に全ての軍勢---蛙どももネズミどもも---を怖じ気づかせた。 にもかかわらず、ネズミどもの軍勢は蛙の戦士の族(うから)を根絶やしにしようと、 軍勢を解散させようとはしなかった。
オリュムポスの神々の中でただ一人、 クロノスの御子のみが蛙どもに哀れみを 感じられていた。 そこで神はすぐさま援軍を遣わした。
(L = 285 - 293)
さて、突然一団の戦士が現れた。 背中に鎧を着込み、曲がったツメを持ち、このネジ曲がった生き物。 横ばいに歩き、クルミをも割る顎を持ち、その体は殻に覆われている。 彼らは骨ばっており、平べったい背中を持ち、輝く肩とがに股の脚、そして 伸びた腕と後方を見る目を持っていた。 8本の脚を持ち、2本の触角、そしてその堅固な体躯、カニと呼ばれる生き物である。
槍の一閃が彼らに向かってきらめくその刹那に、彼らはネズミどもの尻尾と手足を 切り落とした。 これを見たネズミどもは戦意を失い、既に立ち向かうことも出来なかった。 (きびす)を返して逃げ出す始末。
既に陽は沈み、この一日きりの戦争もこうして終わりを告げた。
(L = 294 - 303)


***






Der Streit, wie oben von Homer geschildert,
Wurde in Nippon zwar nicht bebildert,
Doch zogen einheimische Künstler dort,
Ach es ist ein Graus,
Ihre Lehren aus dem Strauß,
Und setzten wie es hier gar eigen,
Die folgenden Darstellungen uns zeigen,
Als Froschbruderkrieg ihn fort.




***

Die Mäuse nach verlorener Schlacht,
Haben sich aus dem Staub gemacht,
Und heimatvertrieben auf der Flucht
Im Nachbarlande Schutz gesucht.




Die Siegermächte unterdessen,
Gierig auf alles das versessen,
Was nun als Beute wunderbar,
Kostenlos zu verteilen war,
Sind darob in Streit geraten.

Ein jeder wollt das größte Stück
Vom noch qualmend heißen Braten,
Für sein und seines Stammes Glück.

Schnell ward vor lauter Mauschelei,
Mit der Eintracht es vorbei.










Was dann in Japan ist geschehen,
Könnt ihr auf den Bildern sehen,
Von namhaften Künstlern wie Mu Pan,
Die dazu wir hier fügen an.


 







 




 
Man schlug gegenseitig hundsgemein
Sich die Köpfe wieder ein,
So wie es einst die rabiaten
Krieger in der Ilias taten.

 

Und die Götter sahen in aller Ruh,
So wie einst, tatenlos nur zu.



***




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Zur Einstimmung

Bei dem hier unter dem Pseudonym R.W. Aristoquakes virtuell zur Veröffentlichung gebrachten, mehr als einhundertfünfzigtausend Doppelverszeilen umfassenden und mit über 15.000 Zeichnungen versehenen Epos handelt es sich um die umfangreichste Nacherzählung des Homer zugeschriebenen Kriegsberichtes, die jemals niedergeschrieben wurde und nach Auffassung des Autors, um das wichtigste literarische Werk der Neuzeit überhaupt.

Unter dem oben abgedruckten Titel veröffentlicht der noch unbekannte Schriftsteller an dieser Stelle in den nächsten fünf Jahren sein als Fortsetzungeerzählung entstandenes Mammutmachwerk über den antiken Tierkrieg und dessen Folgen für die Menschheit.

Das über zweitausend Jahre alte homerische Epillion, das im Original nur etwa 300 Verszeilen umfasst, wurde von R.W. A., der zehn Jahre lang daran gearbeitet hat, zu einem Mammutwerk aufgebläht, das die Batrachomyomachia mit der Ilias und der Bibel verbindet.

Diese Verknüpfung der drei wichtigsten Werke der abendländischen Literatur, die in etwa zur gleichen Zeit entstanden sind, dient dem Autor dazu, seine religionsgeschichtliche These zu untermauern, in der er den Frosch als Ursprungsgottheit darstellt und behauptet, dass die Götter der Neuzeit nichts anderes sind als die konsequente Weiterentwicklung der ägyptischen Froschgötter.